第43章 もしかしたらこれが最後のハッピーバースデー
「まぁまぁ。
夜だけってことだし、夜ご飯を外で一緒に食べたら?
ちょっと良い店予約して」
「うん。それがいいんじゃないか。」
「それ、俺も考えたんだけどよ…
何つーか、サプライズ感無くねえか?
もっと、ミコトが飛び上がって喜ぶようなサプライズを……って…
おい、お前ら何笑ってんだ…」
真剣にうーーんと悩んでいるうちに、ふと前を見ると零もヒロの旦那も必死で笑いを堪えているような顔して俺を眺めていた。
「…ぷ…っははは!
だって!なぁ?ヒロ」
「っはははは!松田がサプライズとか真剣に考えているのが、可愛くて!」
「オメーら…人が真剣に…」
んだよ!俺がサプライズを考えるのがそんなにおかしいか!?
まあけど、確かにここに萩原がいたら同じ反応してそうだ。
陣平ちゃんー、サプライズ必死に考えて可愛いとこあるじゃんー?
なんて言ってきそうだしな…
「っふ…ごめんごめん。
そうだな…じゃあ、松田が料理とケーキを作ってあげるのはどう?」
「ゼロ!ナイスアイディア!
帰って来たらあの松田が夕食のみならずケーキまで作って待っていてくれたら、きっと驚くし喜ぶよ!」
「…いやそれはそうだろうけどよ…
俺、この間チャーハン作ったとき、黒焦げの物体が出来たんだが…
上手く作れる気がしねえ…」
「大丈夫!ヒロが教えてくれるから」
「うん。何ならその日、昼間に家で教えてあげるよ」
思っても見なかった、女神が手を差し出してくれたようなこの状況に、俺は思わずヒロの旦那を期待の眼差しで見た。
「っほんとか?!」
「あぁ。来週日曜なら、オレ昼は非番で当直だから」
「っ!助かる!!
零は?」
「僕は生憎、その日は朝から勤務。」
なんなら零も来てくれたら鬼に金棒だ!と思ったけれど仕方ない。
ヒロの旦那1人だけでも、俺がソロで奮闘するより何倍もマシだ。
「んなら、しゃーねぇな。
ヒロの旦那、頼むぜ…」
「あぁ。任せて」
思わずガシッと諸伏の手を握りながら、協力の契りを交わした俺。