第43章 もしかしたらこれが最後のハッピーバースデー
つまり、俺とミコトが誕生日を過ごせるのは夕方から夜にかけて、それもこの家でか…
サプライズする手段が、この時点でがくんと減った気がする。
「そっか。ん。了解」
そんな風に軽く返事をした俺だが、頭の中は「どうする!?」でいっぱいだった。
正直1日あればどこかに連れて行って、帰りに良い店で食事して店に頼んでケーキをサプライズ。
そしてプレゼントを渡す。
なんて、よくあるカップルの誕生日を想定していた。
けど、家で、半日…
プレゼント渡す以外に何かミコトを喜ばせるものはないか…
考え出したら止まらない。
飯を食っている時も、風呂に入っている時も、ミコトに腕枕をして眠る時も、ひたすらにそのことを考えていたが、良い案が全く浮かんでこねぇ俺。
誰かに相談するにしても…
萩原はいねえし、他の同期にいきなりこの件で連絡を取るのも…
佐藤は…流石に気まずい。
白鳥は…めちゃくちゃ金かかりそうなこと言って来そうだ。
ミコトが俺の腕の中で寝静まった後もうんうんと唸っていると、突如として俺の携帯にメールが届いた。
「ん?」
送信元は 降谷零
珍しいな。ゼロが俺にメールしてくるとは。
明日は大雪か?
なんて思いながらメールを開くと
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松田。明日久しぶりに景と3人で飲まないか?
班長はデートだから来れないらしい。
来れそうなら明日の昼までに返事をくれると助かる。
予約しておくから。
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グッドタイミング…
唯一の彼女持ちである班長の意見が聞けないのは残念だが、降谷とヒロの旦那に誕生日の件相談してみっか…
そう思った俺は、二つ返事で「行く」とだけ返事をした。
あの二人に相談できる。
そう思うと途端にもう成功したような気分になった俺。
腕の中のミコトを抱きしめながら頬にキスをすると、数秒で夢の中に落ちて行った…
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