第43章 もしかしたらこれが最後のハッピーバースデー
松田side
遡ること数日前…
年の瀬も近づき、今年もこの日がやって来た。
そう、俺の彼女が生まれた日
いわゆる誕生日だ。
付き合って初めての誕生日はサプライズにプレゼントを渡し、ホテルの部屋まで取って祝った。
けれど、その次の年も、その次の年も、当日は仕事。
埋め合わせで別日に旅行に連れて行ったりはしたが、結局ここ数年、誕生日当日はまともに祝ってやれてねえ。
今年は何ヶ月も前から上司にネゴッて、なんとか休みを勝ち取った俺は、ミコトが喜びそうなサプライズを、ひたすらに考えている。
「陣平くん?」
「えっ!」
「え、じゃなくて。聞いてた?わたしの話」
ハッと前を見ると、食卓に座ったミコトが反応のない俺に、むーっと顔を膨らませて睨んでる。
「あ…悪い。ボーっとしてた。」
「もう!来週の日曜、わたしお昼は出かけるね?」
「来週の日曜…って、お前の誕生日じゃねえか。
出かけるってどこに?」
「アユとショッピングに行ってカラオケにも行くの!
実習が忙しくて、ここ最近全然遊べてなかったから!
陣平くん、仕事だよね?」
わたしのことは気にしないで?と言わんばかりに笑顔な俺の彼女。
いやいや、お前の誕生日だから休みとったんだよ!
と言おうとしたが、休みを取ったことを伝え忘れていたことに今更気づいた俺。
せっかくミコトがダチと遊ぶのを楽しみにしているのに、水を差しては悪いな…
「…まぁ、そう…だけどよ。
昼だけか?夜は?」
「夜は家に帰ってくるよ!」