第43章 もしかしたらこれが最後のハッピーバースデー
結局、アユとショッピングしていても、カラオケに行ってはしゃいでも、気分が綺麗に晴れることはなく。
未だに過去のトラウマを引きずり、一度考えたら止まらなくなるわたしはどんよりした気分のまま自宅に帰った。
陣平くん、結局お仕事だったのかな…
夜には帰るって言ってあったけど…
と、彼が帰宅しているのかどうかも把握しないまま、自宅玄関のドアを開けた。
「ただいまー」
わたしが声を発した瞬間、部屋の中から突然慌てたようにガタガタと動く音が聞こえ、その後陣平くんの
「っおお!おかえり!」
というとりあえずの返事が聞こえた。
帰ってきてたんだ。
それにしても、何をそんなに慌てて…
まさか、何かよからぬことでもしてた…?
なんて邪推すら働いてしまったわたしは、恐る恐るリビングダイニングのドアを開けた。
「陣平くん…?入って大丈夫?」
「えっ!?は?なにが??」
「なにがって…そんなに慌ててるから…」
男が1人でこっそりひそひそとして、誰かが来たら慌てるなんて浮気か、1人エッチしてたかぐらいしかない!!というキメツケを頭の中で展開していたわたし。
浮気なわけないから、後者だ…と勘違いしていたけれど、わたしの予想は大きく外れたらしい。