第43章 もしかしたらこれが最後のハッピーバースデー
もちろんそんなこと、詳細に伝えることなんてできず、ただ怖いとだけ言って俯くわたしに、アユは困ったように眉を下げた。
「…よく分からないけど…
陣平さん、誕生日ちゃんと考えてくれてたかもしれないよ?」
「ん…そう…かも」
あの陣平くんが誕生日を計画してくれてる可能性は、どちらかといえば低いと思う。
そんなこと、マメにできるタイプじゃないし。
とは言え、付き合って初めての誕生日はサプライズなんてしてくれて、今まさにわたしの腕に光るこの時計と素敵なドレスをプレゼントしてくれた。
今もわたしの腕の上で時を刻む彼からのプレゼントを眺めては、彼の顔が頭に浮かぶ。
もしかしたら、何か計画してくれてたのかな…?
わたしがお昼間は外出することになったから、ご破産?
それとも、やっぱり何も気にせず普段通り仕事してたりして。
結局、わたしの頭の中の9割は陣平くんが占めていてそれは今も昔も変わらない。
来年の11月7日まで後1年もない。
もしもその日が、わたしの知ってるあの11月7日と同じ結果になったとしたら、わたしに一体何が残るんだろう…
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