第41章 告白
松田side
結局あの後、喫煙所から戻った俺はもう一度しっかりと目暮警部に叱られ、次は無いと釘を刺された後、また佐藤と一緒に聴き込み調査に出ることとなった。
気まずい車内に入って第一声目に佐藤から発せられたのは
「さっきの話、忘れて?」
「…え?」
「あんなの、今伝えるべきことじゃないし、少なくともこの事件の捜査はこの組み合わせで続行なんだから…
ただでさえよく分からない事件を追っているのに、これ以上悩みを増やしたくないし。
だから…忘れて。何も気にしないで」
それだけピシャリと言い切ると、それ以上は何も突っ込めず、俺たちは至って普段通りに聴き込みを開始し、夜22時に自宅まで送ってもらった。
「気にすんなと言われてもねぇ…」
俺をマンションのそばに下ろした佐藤の車が走り去るのを見ながら、ポツリとそんな言葉が漏れた。
結局今日の聴き込みや他の捜査員からの情報によると、被害者の携帯の操作履歴や、持っていた私物からも、藍沢と紐付く手がかりはなく、本格的にシロ確定となった。
そう言えばミコトと喧嘩していたんだと、マンションのエントランス前に立ってふと思い出した俺。
色々あって、すっかり頭から抜けていたが、花でも渡して謝ったほうがいいのか…?
手ぶらなんだが…花屋はきっともう閉まってる。
萩原に、彼女との一晩越しの喧嘩の仲直り方法をレクチャーしてもらいてえ…
そう思いながら、萩原ならなんて言うか…と頭を巡らせると
「んな難しいこと考えんなってー。
髪撫でながら好きだよってキスして、そのままベッドでたくさん愛してやれば即仲直りよ」
と自信満々に語る萩の姿が目に浮かんだ。
ベッドでたくさん愛してって…おめーの妹でもそれでいいのかよ、萩…
と、ツッコミを入れながらゆっくりと玄関の扉を開いた。
「陣平くん!!」
「うおっ!」
玄関の扉を開いてすぐミコトが立っていて、俺の名前を勢いよく呼んだ。
俺は驚きすぎて思わず身体をビクッと跳ねさせながら、ミコトを見た。