第41章 告白
佐藤side
好きなんて、言うつもりこれっぽっちもなかったのに。
松田くんがあまりにも周りが見えなくなっていて、彼女のことになると必死で。
そんな彼を近くで見るのは、自分が思っている以上に限界だったようだ。
松田くんに払い除けられた手が、ツンと痛む。
とぼとぼと捜査本部になっている会議室に戻ると、白鳥くんが駆け寄ってきた。
「佐藤さん。松田さんは…」
「タバコ。吸ってくるって」
そう言って、白鳥くんの目を一度も見ずにカタンと椅子に腰をかけた。
目が合うと、フラれて傷付いているのがバレそうだと思ったから。
そっか…私、フラれたんだ。
わかってたのに。
私がどれだけ長い時間隣にいようと、どれだけ彼の仕事を理解してようと、あの子には敵わない。
松田くんの亡くなった親友はあの子のお兄さんであり、きっとあの事件が起こってから、2人で手を取り合って、支え合って生きてきたんだ。
そんな2人の絆に入り込めるほど、彼にとって私と言う人間は大きな存在では無い。
わかってたのに、ちゃんと傷付いているなんてバカみたい。
しばらくすると、松田くんが喫煙所から戻ってきた。
会議室中の強面刑事に一斉にギロッと睨まれても、少しも動じることなく平然としてる彼。
そんな、傍若無人なところが実は好きなの。
「松田くん。ちょっといいかね。」
松田くんが戻ってきたことに気付いた目暮警部が、松田くんを連れて一旦部屋から出た。
その時、私のすぐ隣を通ったのに、松田くんとは一瞬たりとも目が合わなかった。
あんな告白、するべきじゃなかったのに
彼のこと、好きになるべきじゃなかったのに
時間を戻せるなら、戻したかった。
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