第41章 告白
「…白鳥くん。そのような情報は聞き込みの中で出て来たのかね?」
「いえ。指導医として尊敬しているとは言っていましたが、男女の関係というのは病院関係者も含め、証言は得られていません」
そう報告する白鳥刑事に、さっきの刑事がまた反論をする。
「しかし、オープンな関係ではないと言うこともあるのでは?
指導医と実習生ですし、隠れて付き合っていたとか」
「てめぇ…いい加減にしろよ…」
刑事としては、このしつこさは優秀なのだろう。
が、俺の大事な恋人があろうことか浮気をしていて殺人犯を庇っているなんて仮説は、胸糞が悪いどころの話じゃねぇ。
今にも殴りかかりそうな俺を、佐藤が隣で必死に静止する。
「松田くん!やめなさいよ!」
そう言われながらも掴んだ胸ぐらを離そうとしない俺を見て、目暮警部が一度ため息を吐いたあとに言った。
「…まあ確かに、念のためにきちんと調べる必要はありそうだ」
「っはあ!!?ちょっと待てよ警部さん!」
「松田くん。
君は、少し私情を挟みすぎだ。
あまり度が過ぎると、捜査から外すと言う選択肢も視野に入れねばならん…」
目暮警部のいつになく真剣で深刻な表情に、俺はグッと言いたいこと全部飲み込んだあと、ガンッと机を拳で叩いた。
そして、乱暴に部屋のドアを開けるとそのまま頭を冷やそうと外へと退出した。
「ちょ、ちょっと松田くん!?」
慌てて佐藤が追いかけてくるのを無視して、とりあえずヤニ入れてぇと喫煙所に向かってズンズンと進む俺を、佐藤が腕を掴んで止めた。
「いい加減にしなさいよ!その態度!!」
「っせーな…あんたには関係ねぇだろ」
「あるわよ!あなたと組んでるのは私よ!?」
「あぁ、そうだよな。
あんたの点数にも響くもんな俺があまり勝手な行動取ってると」
あまりにもお節介で、何もかも理解していますよ。という顔をして説教垂れてくるこいつにもイラついて、俺は嫌味100%の反論をしながら佐藤を睨んだ。