第41章 告白
松田side
ミコトと仲直りをしないまま、警視庁に出勤して来た俺は、事件の捜査状況が書かれたホワイトボードをぼんやりと眺めていた。
昨日のミコトの言い分を見ると、きっと藍沢は白なんだろう。
藍沢のミコトへの好意が露見し、ミコトがどれだけあいつを慕っているのかも明るみになり、捜査は振り出しどころか俺としてはマイナスでしか無いんだが。
昨日の一連の流れを思い出してまたイライラと頭に血が昇って来た俺は、警視庁の会議室の椅子をガンッと蹴り飛ばし、喫煙所へと向かおうとした。
そのとき
「ただいま戻りました」
そう言いながら捜査から戻って来たのは白鳥刑事とその相方だ。
「おお。白鳥くん。
どうだったかね?藍沢と一緒にいたと言う実習生の話は」
「話によると、あの日彼女が飲み物や食べ物を口に含んだのは、藍沢がオペに行っている間に購入して飲んだ缶ジュースだけで、藍沢が戻ってくる頃には飲み干していたようです。
つまり、何か薬品を入れられて眠らされた可能性は低そうですね…」
「ふむ…そうか。
それなら、やはりあの医者はシロか…」
うーむ。と腕を組んで背もたれに身体を預ける目暮警部。
やっぱ藍沢はシロか…
…今日帰ったら、ミコトに一言謝んねえとな…
そう思っていると、一人の刑事が挙手をして意義を唱えた。
「あの、本当にそうでしょうか」
「?どういうことだね」
「その実習生と、藍沢医師の関係はただの指導医と実習生なのでしょうか。」
その質問に、俺は思わずその刑事の胸ぐらを掴みながら睨んだ。
「おい。何が言いたい」
「…2人が男女の関係であれば、庇って偽証している可能性もあるかと」
「は?あいつは、俺と付き合ってんだよ…」
可能性の話ですら、ミコトが他の男と関係を持っているなどという話は聞きたくもなかった。