第41章 告白
ご飯も何も食べずにベッドルームに篭ったわたし。
陣平くんは、刑事としてちゃんと捜査した結果あぁ言ったと頭では理解できる。
だけど陣平くんたちが疑っているのは、毎日毎日、患者の病と向き合って一人でも多くの人間を救おうと努力を惜しまない人。
そして、救えなかった時はちゃんと患者の死に心を痛めているそんな医者だ。
救えなかった人間の名前だけ覚えておけばいい。
そうまで言っていた藍沢先生は、わたしにとって憧れの医者であり目標であり、夢だ。
そんな先生が人を殺すなんて有り得ない。
人を救うことはあっても、命を奪うなんて絶対にしない。
陣平くんに疑われた時、わたしは自分の夢をも疑われたような気持ちになって、思わず反論してベッドルームに逃げ込んだ。
そのまま気付けばふて寝していて、目を覚ましたときにはもう朝日がカーテンの隙間から差し込んでいた。
「寝ちゃってた…」
今日も今日とて実習に行かなければいけない。
むく…と身体を起こして気付いたのが、自分が律儀にもベッドの半分を空けて寝ていたということ。
そして、その空けた半分は使われた形跡がなかったということ。
陣平くんは、リビングで寝たんだろうか…
そう思って恐る恐るリビングを覗くと、彼の姿はもう無かった。
きっともう、仕事に出かけたんだ…
そう思いながらリビングのソファーにぽすっと寝転がると、かすかに陣平くんの匂いがする。
昨日はここで寝たんだね…
陣平くんと今までたくさん喧嘩したことはあるけど、こんな風に仲直りしないままなのは初めてかもしれない。
いつも言い合って、結局わたしが泣いて、たまらず陣平くんが抱きしめて謝ってくれたのに、わたしは昨晩、その機会を自ら遮断してしまった。
「陣平くん…」
せっかく同棲を始めたのに、これじゃあ前よりも心が離れている気がする。
今日、ちゃんと謝ろう。
陣平くんの仕事はわたしが理解してあげないとダメなのに…
美味しいもの作って、ごめんねって謝って、ぎゅってしてキスして好きだって言おう。
陣平くんの残り香を嗅ぎながら、涙が一筋流れた…
*
*