第41章 告白
ミコトは自分のバッグから手帳を取り出して、その日付を確認した。
「…この日は確か…医局で寝ちゃって気づいたら朝で…
朝帰りしたけど、それがどうして刑事さんが来ることと関係があるの?」
「捜査情報は外部には漏らせない。
けど、一つ言えるのは疑われているのはお前じゃねえ」
「…まさか」
「あぁ。藍沢海里だ」
「ちょ、ちょっと待って。
陣平くんって捜査一課強行犯係だよね?
それって…殺人事件の専門班でしょ?」
妙なカンの良さも、萩原譲りだ。
核心をついたミコトの質問に、捜査情報を漏らせないとは言ってられなくなってきた。
「そうだ。藍沢海里はある殺人事件の重要参考人だ」
「…」
ミコトは、目を見開いて俺を見た。
「9月3日のアリバイを確認すると、オペ以外の時間は医局でお前と一緒だったと証言した。
でも、お前は途中で寝落ちしてそこから朝まで医局のベッドで眠っていたと。
明日、刑事が来てそのときに睡眠薬を盛られた可能性がないかとか、色々聞きに来るから」
「ちょっと待ってよ」
「え…?」
「藍沢先生は、殺してないよ?絶対」
何言ってるの陣平くん…と言わんばかりに、俺をまっすぐ見ながらそう訴えるミコト。
「…それは、薬盛られた可能性はゼロだと言い切るだけの根拠があるってことか?」
「根拠とかじゃなくて!
ありえないよ…藍沢先生は毎日戦ってるの!
死にそうな患者目の前にして、どうにか救おうと毎日絶望と隣合わせで。
そんな藍沢先生が、人を殺すなんてありえない!」
藍沢のことでこんなに熱くなるミコトを見て、俺は俺で面白くねえって気分になってきた。