第5章 妹なんかじゃない ☆
「な、に…」
「…ムカつく。」
「え…?」
「お前が、他の男に尻尾振ってんのが、ムカつく」
そう言って、わたしの身体を壊れそうなほど強く抱きしめた。
なにそれ…
そんな、独占欲丸出しなこと言って、わたしのこと…
好きじゃないくせに
「…じゃあ、陣平くんしか見れないようにしてよ」
顔を赤くして、陣平くんの目を見ながらそう言った。
陣平くんの手のひらが、わたしの片頬を覆ったと思えば、ゆっくりと顔が近付いてくる。
そして、陣平くんと二度目のキスをした。
「ん…」
初めてキスした時より、長くて、何度も角度を変えてわたしの唇を溶かすみたいなキス。
わたしから思わず吐息が漏れた。
「じ…んぺ…」
唇を離して、見つめ合い、彼の名前を最後まで呼べないまま、陣平くんはわたしをベッドに寝かせた。
「俺しか見んな」
わたしの目を見て真っ直ぐにそう言いながら、陣平くんの唇が上から降ってきた。
「んっ…」
またさっきみたいに、何度も角度を変えるキス…
そう思ってたら、陣平くんがゆっくり唇を離して低い声で言う。
「ミコト…舌出して」
「した…?」
思わず聞いたわたしの隙をついて、陣平くんの舌がわたしの口内に侵入した。
「んんんっ…ッ」
タバコの味がする、ニガくて大人の味が。
陣平くんの舌が、わたしの舌に絡んで、くちゅ…ぴちゃ…と水音を立てるたび、わたしの身体がビクッと跳ねた。
こんなキス、知らない…