第5章 妹なんかじゃない ☆
今日は陣平くんが先にお風呂に入った。
わたしがその後お風呂に入り、例の如く陣平くんから借りたスウェットをワンピースにして部屋に戻ると、陣平くんはベッドの上でパチパチとメールを打ってる。
「陣平くんー!ズボン、いらないって前も言ったじゃん」
そう言って、履けと言われたズボンを返した。
「履いてくれよ。頼むから」
はぁーっとため息を吐きながら、陣平くんは渋々返されたズボンを受け取り、チェストに戻した。
「そういやぁ、お前携帯光ってたぞ」
「え、ほんと?」
慌てて携帯を確認すると、同じゼミに所属する男友達からメールが来てた。
「やば!明日提出するレポート、教授の研究室に置きっぱなしにしてた!」
メールには、
見つけたから、念のため僕が預かっておくよ。
と一言書いてあった。
わたしは即座に友人に電話をかけた。
「あ!もしもし?!新出くん?
よかったあ!ありがとう。
危うく教授に捨てられるとこだった!」
「あの教授、掃除が趣味みたいな潔癖症だからね。
明日、持っていくよ」
「うん!!さすがプリンス新出くん!
好き!今度またお礼するから!」
そう言って電話を切ったとき、隣で聞いてた陣平くんが、口を開いた。
「…男?」
「うん。同じゼミの。
論文をね、置きっぱなしにしてたのを…」
拾ってくれたの!まで言う前に、陣平くんの低い声が挟まった。
「好きとか、簡単に言うな」
「え…」
「お前が好きなのは、俺じゃねぇの?」
「そ、そうだけど、さっきの好きはLikeで、陣平くんの好きは…」
loveだから!
なんて恥ずかしくてとても平然と言えず、モゴモゴと言い淀んでいると、陣平くんがわたしの手を引いて、腕の中に閉じ込めた。