第40章 疑惑
すぐさま俺と佐藤は、佐藤の愛車に乗り込んで被害者のマンションがある杯戸町へと向かう。
「このヤマ、長引きそうだな…
また今日も終電帰宅か」
「あら。終電に間に合わなければ私が送ってあげるわよ」
「嫌な事言うなよ。終電で帰るっつーの」
そんなやり取りをしながら、俺は携帯を取り出してミコトにメールを打った。
ーー
悪い。デカい事件に招集された。
しばらくは帰りが遅くなるから、眠くなったら先に寝ててくれ
ーー
同棲を始めてもうだいぶ経つのに、相変わらず事件・事件で申し訳なくなるぜ…
ため息を吐いて携帯を閉じたとき、ミコトから返事が来て携帯がブルった。
ーー
了解!
身体に気をつけてね?
明日は実習が午後からだから、今日は帰ってくるまで起きてるよ
食べたいものがあったら何でも作るから言ってね
ーー
ーー
カレーが食いてえ
ーー
ーー
またカレー!?(゜_゜)
わかった。カレー作って待ってるー。
頑張ってね、松田刑事!
ーー
「…おめーが食べたいもの言えって言ったくせによ」
返ってきたメールを見ながら、フッと笑みをこぼす俺。
送ったメールに返事がちゃんと返ってくる。
これ自体がとんでもない奇跡なんだということを、俺はよく知ってる。
「なに?ニヤニヤしちゃって」
「いや?さ、聞き込み行って、さっさとこの事件手柄上げてやろうぜ」
単純にも、彼女からの「頑張って」のメールだけでやる気を出した俺は、鼻歌を歌いながら被害者のマンションに到着する道のりを助手席の窓から眺めていた。
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