第40章 疑惑
合点がいった俺は、引き続き目暮警部の概要説明に耳を傾けた。
「死因は後頭部を殴られたことによる脳挫傷。
検死の結果、死後3ヶ月以上経過しているそうだ」
「3ヶ月って…警視副総監の息子で会社の社長だろ?
その間、捜索願は出てなかったのかよ」
「ちょ、ちょっと松田くん。言葉遣い!」
平然と敬語も使わず、挙手もせず発言する俺を他の刑事たちは更に睨みを効かせ、目暮警部はオホンと咳払いをしたあとにその質問に答えた。
「どうやら、しばらく休みを取っていなかったという理由で
3ヶ月間、海外で長期休暇を過ごそうとしていたらしい。
仕事のことを副社長や秘書に任せ、連絡もしないでくれと言われていたので3ヶ月連絡がつかないことに誰も不思議に思わなかったそうだ」
「なるほど」
3ヶ月も海外で休暇か…羨ましい。と、呑気に考えていると隣りにいる佐藤は律儀に挙手をして質問をした。
「被害者は独身でしょうか?
会社や両親に連絡がないのは不思議ではないですが、さすがに妻と3ヶ月以上も連絡を取らないというのは…」
「被害者は過去に一度結婚していたことがあったそうだが、今は離婚して独り身だそうだ。
我々も、これ以上の情報はまだ掴んでおらず、まずは被害者の周辺を洗うところから捜査をスタートしてほしい。
佐藤くんと松田くんは、被害者の住んでいたマンションの聞き込みを頼む。
それから…」
目暮警部がそこに集められた刑事たちそれぞれに指示を出し、
「この事件は副総監からもくれぐれも。と言われておる。
皆、警察の維新にかけて必ず犯人を検挙するんだ」
「はい!」
と、一斉に敬礼をして合同捜査会議は一旦お開きとなった。