第39章 抱きしめることが出来る奇跡 ☆
起きてからと言うものの、陣平くんはずっとわたしのことを抱きしめてる。
料理しているときは、後ろからひたすらにハグ
そして、出来上がって食べるときはいつもは向かい合わせに座るのに、何故か隣に座ってぴっとり身体をくっつけてる。
そのあとは、録画してたわたしの好きなドラマをソファーに座って観たのだけど、相変わらずわたしをぎゅっと抱き寄せたまま。
いつもは恋愛ドラマなんて興味を示さずに、TVのリモコン分解して遊んでるくせに。
「陣平くん」
「んー?」
「甘えん坊だ!陣平くん!」
「うんー」
と、少しからかってみたものの、特に否定もせずにまたわたしにぎゅーっと抱きつく力を強めた。
突如として発せられる陣平くんの子犬モードに、可愛い…を心のなかで連呼しながら彼のくせっ毛を撫で撫でしていたけれど、
結局、陣平くんにずっと抱きつかれていたせいで、ドラマの内容なんてほぼ頭に入ってこなかった。
ちょうどドラマを見終わったときのことだった。
[〜♪〜♪ お風呂が湧きました]
「あ。陣平くん。お風呂湧いたって。
先に入る?」
未だわたしに抱きついて離れない陣平くんにそう尋ねると、陣平くんはわたしのことを更にギュッと抱きしめながら言う。
「離れたくねえ」
「そ、そんなの一緒に入らなきゃいけないじゃん」
「嫌?」
眉を下げて、捨て犬みたいな顔して見つめられると嫌なんて言えない…
むしろ、可愛すぎて可愛すぎてもう何でもしてあげたくなっちゃう自分が怖い…
「嫌じゃないよ?」
「じゃあ、行こうぜ」
わたしのYESを聞いた陣平くんはスッと立ち上がり、わたしの後ろから抱きついたまま二人一緒に脱衣所に向かった。