第39章 抱きしめることが出来る奇跡 ☆
わたしには陣平くんがいる。
そう思うだけで何でも出来そうな気がするぐらい。
「あ、そういえば陣平くん夜通し捜査だったの?
ご飯とかちゃんと食べた?眠くない?少し寝る?」
「お前、相変わらず人の心配ばっかして…
俺はタフだからいいんだよ。」
「でも、一睡もしてないんでしょ?」
「…じゃあ、ちょっと寝るわ」
「うん!そうして?わたし起きるから広くベッド使って…」
そう言ってわたしがベッドから降りようとした時、ベッドに乗ってきた陣平くんに後ろから捕まえられた。
「?!陣平くん?」
「ミコトも一緒に寝ようぜ」
「わたしは昨日の夜から十分寝たよ?」
「…添い寝してくれねぇの?」
ワンコみたいな顔して言う陣平くん。
くぅーん…と鳴き声が聞こえてきそうなほど、可愛すぎて母性本能をくすぐってくる。
「っ!!ず、ずるい…」
陣平くん至上主義なわたしにはひとたまりもなく、わたしは大人しく彼に抱っこされたまま身を預けた。
「あー…ミコトの抱き心地が良すぎて5秒で寝そう。」
「もう、わたしは陣平くんの抱き枕じゃないんだよ?」
「……」
「?陣平くん?」
…すかー…すかー…
と寝息を立てる彼は、有言実行。
本当に5秒で寝落ちした様子だ。
「疲れてるもんね…いつもお疲れ様」
眠る陣平くんの頬にキスを落とし、寝顔をじっと見つめているとわたしもまた眠くなってきた。
陣平くんの腕の中でゆっくりと目を閉じると、魔法にかけられたみたいにわたしもまた、5秒で夢の中に落ちていった…
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