第39章 抱きしめることが出来る奇跡 ☆
松田side
結局、署を出て家に到着したのは朝9時頃だ。
ミコトは今日は実習だろうか…
さすがに昨日の今日だ。臨時休暇でまだ眠っている可能性が高いな。
俺は俺で夜通し捜査して逮捕して事情聴取。
一睡もしていない身体だけど、少しも眠くなかった。
ミコトの元気な顔をちゃんと見て安心したい。
そんな一心で自宅マンションのエレベーターに飛び乗った。
鍵を開け、玄関に入るとミコトがいつも履いている靴がちゃんとある。
どうやら、予想通り実習は休みらしい。
「ミコト…」
急いでリビングを抜けベッドルームの扉を開けると、俺がプレゼントしたテディベアを抱きながらすーすーと寝息を立てるミコトの姿が目に飛び込んできた。
ギシ…とベッドに座り、ミコトの頬を撫でてやるとちゃんと温かい。
「生きてる…」
昨日は結局、ミコトに一度も触れることなく現場をあとにしたから、いざミコトのぬくもりを指で感じるだけで身体中の力がふっと抜けた。
安心したと同時に、ミコトがちゃんと生きてるという事実に思わず泣けてくる。
「心配したってレベルの話じゃねえんだよ…ばかやろ…」
そう呟いて、今にも零れそうな涙を必死で引っ込めようとしていたとき
「ん…陣平くん…?」
眠っていたミコトがゆっくりと目を開けて、俺は思わずバッと後ろを向いた。
「おかえり。ごめんね、寝ちゃってた…
起こしてくれればよかったのに」
「いや。俺も、今さっき帰ってきたばっかだから」
そう返事をしたものの、ミコトが話している声を聞くと更に胸が苦しくなる。