第5章 妹なんかじゃない ☆
わたしは、陣平くんの着ていたシャツの裾を引っ張ると、彼の目をじっと見ながら言った。
「…じゃあ、こっちきて」
そうしてベッドに陣平くんを誘うと、狭いシングルベッドに2人で寝転がった。
思った以上に距離が近い。
わたしの息が、陣平くんにかかりそうで、思わず息を止めた。
「…なんか、窮屈だな」
お互い、お互いの身体を触れないように、身体を縮ませてベッドで寝転がっているこの状況。
陣平くんが、突然、わたしの頭の下に腕を入れてきた。
「えっ!な!なに?!」
「絶対こっちのが寝やすい」
そう言いながら、腕枕をしたまま、わたしをぎゅっと抱きしめた。
な!
な!な!!!
さっきまで、一緒に眠るの渋ってたくせに!!
突然こんな、わたしの気持ちさらっていくようなことしないでよ!
バクバクバクと心臓が煩い。
だけど、こうも思った。
こんな風に、男の人と眠るの、
あの時お兄ちゃんと寝た以来だ。
陣平ちゃんのこと、諦めんなよ
そう言って髪を撫でてくれたお兄ちゃんを思い出す。
陣平くんの腕の中が、思ったよりずっと心地よくて、わたしは日頃の疲れもあり、意外とあっさり眠りに落ちていった。