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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第38章 助けたかったのは




トリアージとは、災害発生時など、多数の傷病者が発生した際、緊急度や重症度に応じて治療優先度を決めることだ。

赤は緊急で処置をしなければ助からない人
黄は重傷ではあるが治療開始まで時間に余裕がある人
緑は軽症
黒は心肺停止してもう助かる見込みのない人

災害現場では医師がタグを使ってトリアージを行うが、それが手元にないわたし達は、油性ペンを使って患者の手の甲に色と損傷箇所を書いていく。


「米花中央病院の萩原です。
聞こえますか?
…反応ある。外傷は…」


一人一人の状態を確認してトリアージを進めている時、わたしのポケットに入れていた携帯が鳴った。



プルルルル
プルルルル



そうだ。
そう言えば爆発の直前に電源入れてたんだ。

パッと携帯の画面を開くと、「陣平くん」の文字が。


「…陣平くん…」


その名前を見ただけで、安心で泣きそうになった。
わたしはトリアージを進めながら、合間にその電話の通話ボタンを押した。


「もしもし!?陣平くん?」

「っ…ミコトか!!?おま…今どこだ!」


受話器から陣平くんの切羽詰まった声がした。
きっとよほど心配してくれているんだろう。


「今…東京国際タワービルの26階で…」

「無事か!?怪我はねえか?!
すぐに迎えに行ってやっから、待ってろ」


そうか。
爆発の騒ぎを聞きつけて、きっとすぐ近くまで警察や消防隊が来てるんだ。


「わたしは大丈夫。
けど、怪我した人が大勢いて今、藍沢先生と診てる。
医療道具が一つもないから、はやくレスキューの人に来てもらわないと、助かる人も助けられない」

「わかった。レスキューと掛け合ってみる。
26階だな?!」

「うん!…じゃあ切るね」


そう言ってまた処置に戻るため電話を切ろうとしたとき、陣平くんがわたしの名前を読んだ。


「ミコト!」

「ん?」

「…無茶するなよ?俺はお前が1番大事なんだ。」

「陣平くん…」

「もし…もしもお前が萩原みてぇに…」


そこまで言うと、陣平くんは声をつまらせた。
きっと、言葉にするのが怖いんだと思う。


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