第37章 朝帰りのお仕置き ☆
けれど俺はミコトが帰ってこない間、時計の針を数えながら待つ時間がとてつもなく恐怖だった。
実習で病院にいるに違いない。
そう思おうとすればするほど、もしミコトが萩原のようにいなくなったら。
そんな最悪な考えが浮かんでは消えて、吐き気がした。
どこにも行かないで欲しい。
出来れば俺の目の届くところにずっといて欲しい。
そんな思いが先走り、俺はミコトの舌に強引に自分の舌を絡めた。
「んっ…」
俺が強引に舌を絡めるたびに、小さく漏れる吐息が可愛くて可愛くて仕方なくて、ミコトの名前を呼びながら思わず手を身体に這わせる。
このまま、玄関で抱いてしまいそうだ…
悪びれもなくそう思っていると、危機を察知したのかミコトが突然身体を離した。
「だ!だめー!!!」
お手本通りの拒否に、わかりやすく傷つく俺を見て、きっとあの世の萩原が笑ってる。
陣平ちゃん、普段デリカシーないくせに拒まれて傷ついてるの可愛いねぇ。
なんて言ってきそうだ。
「ダメなのかよ…」
「だ、ダメ!シャワー浴びてから!」
「は?」
てっきり、疲れてるから今度!だとか、そもそもそんな気分じゃない!とか言われるのかと思っていたら、シャワー浴びてから。だと…?
嬉しい誤算に震える俺に、ミコトは慌てながら弁明する。
「だって、昨日からお風呂入ってないんだよ!?
陣平くんに汚いって思われたくない!」
「…ってことは、風呂さえ入ればOKってこと?」
こういうところが、デリカシーがねぇって言われる所以だろうな。
俺のそのどストレートな質問にミコトはみるみるうちに顔を赤くしたかと思えば
「…そ、そんな改めて言わないでよ…
陣平くんのエッチ!」
そう言ってぷんぷん怒りながら脱衣所へと走って行った。
「エッチって…可愛いかよ…くそ…」
思わずそう呟いた俺は、ミコトが風呂から出てくるのを待っていようと、寝室のベッドにゴロンと寝転がった。
それにしても、よかった。
ミコトが無事に帰ってきて。
張り詰めていた緊張が一気に溶けた反動からか、俺の瞼はどんどん重くなっていき、気付いたらベッドの上で、すかー。と寝息を立てていた。
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