第37章 朝帰りのお仕置き ☆
松田side
俺の心配をよそに、ミコトは至って普通にいつも通り帰宅した。
気の抜けた声でただいまと言いながら家の玄関が開く音がして、俺は思わずミコトの名前を呼んだ。
俺に大声で名前を呼ばれたミコトはビクッと身体を揺らしたが、俺はお構いなしにそんなミコトの身体を力一杯抱きしめた。
良かった…無事に帰ってきた…
ミコトの髪に鼻を埋め、ミコトの華奢な身体に触れて、俺の腕の中にちゃんといることを確認すると、安心して力が抜けそうになる。
どうやら、一度帰宅した後病院に戻り、終電を逃してしまったらしい。
おおよそ、俺の予想した通りだったわけだが、俺があまりにも心配したそぶりを見せたからか、ミコトは申し訳なさそうに謝った。
そして、いつにも増して俺の顔に死相が見えているのに気づいたのか、心配そうに眉を下げて俺の顔を覗き込んでくる。
「陣平く…もしかして、寝てない…?」
「お前がいなくなったのに、眠れるわけねぇだろ…8時になっても何の連絡もなかったら、捜索願い出そうと思ってた…」
半分当てつけみたいにそう言うと、ミコトは一層申し訳なさそうに謝る。
「ご、ごめんなさい…」
泣きそうなミコトの顔を見ると、なんだかこっちが悪いことをしてるみたいな気分になって、俺はあっさりと許してしまう。
甘いんだろうか。
「いいよ。無事でお前がこうして俺の腕の中に帰ってきたんだから。
それだけで十分だ…」
そう言いながら、ミコトの口を唇を重ねて塞いだ。
よく考えれば、ただ彼女が朝帰りしただけだ。
それも、やむを得ない事情で。