第5章 妹なんかじゃない ☆
松田side
女のためにメイク落としを買うなんて、初めてだ。
ホンットに、手のかかるお姫様だな。萩の妹は。
萩原の顔を思い浮かべながら、俺は心のなかで悪態をつき、大人しくコンビニでメイク落としを購入した。
家に戻り、脱衣所のドアの向こうから浴室にいるミコトに買ってきたぞと声をかけると、あろうことか中に入って渡してくれと言い出すミコト。
こいつ、俺がどんな思いでここに立ってるのかわかってんのか?
3つ年下のミコトに翻弄されている自分を自覚しながら、俺は意を決して浴室のドアの前に立った。
するとミコトは突然ドアを開けて顔を見せてくる。
風呂に入っていたせいで、紅潮した頬に雫がついた肩
俺は思わず顔を背けた。
それだけでは飽き足らず、ミコトは自分の下着が入った紙袋を持ってこいとまで言う。
萩…
お前の大事な妹の下着を運んでるんだぜ俺…
今度会ったらぶん殴られそうだ
そう思いながら、俺は自分の部屋着のスウェット上下と、言われたとおり下着の入った紙袋を浴室のドアの前に置いた。