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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第36章 疑惑の朝帰り




松田side


ミコトを無事に送り出した後、俺も出かける準備をして警視庁へ出勤した。


「っすー!」

「松田くん。ちょうど良かった!
今から米花町4丁目に向かうからあなたも来て!」

「ったく。いきなり事件かよ」

「それも殺人。ほら、行くわよ!」


今日は庁内で担当事件の聴取のまとめをやろうと思っていたのに、また新しい時間の幕開けらしい。

この街、絶対呪われてるぜ…


そう思いながらも、俺は佐藤の助手席に乗り込んだ。


ため息を吐きながらシートベルトをした瞬間、ジャケットの袖についてるボタンを金具に引っ掛けて、ボタンが一つプツッと飛んだ。


「あー…ボタン取れちまった」

「そんなの、あの可愛い彼女につけて貰えばいいじゃない」


佐藤はハンドルを握りながら半ば投げやりにそう言った。


「ミコト、今日から臨床実習なんだ。
だから、これぐらい自分でやらねぇと」

「臨床実習…あぁ。そういえば東都大医学部の学生って言ってたわね。」

「よく覚えてるな。」


一度ミコトのことを話した時、東都大学医学部という情報を伝えたことを今思い出した俺。

それを佐藤はしっかりと覚えていたことに驚きの声をあげた。
さすが、叩き上げの警視庁捜査一課の女刑事。
一度聞いた情報は全部頭に叩き込んでるってか?

そんなふうに感心する俺に、佐藤は少し不機嫌そうに眉を顰めた。


「…覚えてるわよ」


俺はこの時、何故佐藤がミコトの情報をちゃんと覚えていたのかも、
何故、こんなに不機嫌そうに顔を曇らせたのかも、
何も知らなかった。


その答えを知るのは、もっともっと後のことだった。





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