第5章 妹なんかじゃない ☆
陣平くん、意外とシャンプーとトリートメント、良いやつ使ってるんだよね…
そんな風にいつも掃除してるお風呂場を見渡すと、肝心なものがないことに気づいた。
メイク落としがない…
大学生のわたしはもう立派にメイクをしている。
さすがに洗顔で落とすのは難しく、わたしはお風呂の扉を少し開けて陣平くんを呼んだ。
「じんぺいくーーん」
「あーー!?」
脱衣所の向こうから、陣平くんの声がする。
「あの…下のコンビニで、メイク落とし買ってきてくれない?」
「あんだってー!?」
「ピンクのやつ!お願いー!」
「しょうがねぇな…ったく」
ブツブツ文句を言いながら、陣平くんが家を出た音がした。
アパートのすぐ前がコンビニでよかった…
ホッと胸を撫で下ろしながら、わたしはメイク落としが届くまで半身浴を続けた。