第5章 妹なんかじゃない ☆
食べ終わったカレーのお皿やスプーンの洗い物を済ませた時、陣平くんがわたしに言った。
「ミコト、先に風呂入れよ」
「先に入って良いの?」
「一緒に入りてぇのか?」
「うん!陣平くんと入る!!」
少しも冗談が通じず、何なら嬉しそうにはいっ!と手を挙げて元気よくそう言うわたしを見て、陣平くんは焦ったように言う。
「バカ!拒否しろよちゃんと!
天国の兄ちゃんが泣くぜ?」
多分、わたしが顔を赤くして、入らない!って言うものだと思ってたんだろう。
「…お兄ちゃんは、きっと行け行けって言ってるもん」
「…たしかに、言いそー…
ダメだからな!お前、男と風呂なんて俺が許さねえ!
ホラ!早く入ってこい!」
そう言いながら、陣平くんはわたしにタオルを押し付け、無理矢理脱衣所に押し込んだ。
ちぇ…
と、一緒に入れなかったことを少しさみしく思うわたしは、女として危機管理能力が欠けているんだろうか…
扉を挟んだ向こう側に陣平くんがいるのに、裸になるのがすごくドキドキした。
沸かしてくれたお風呂に浸かると、この後ここに陣平くんが入るんだ…と思い、全然寛げなかった。