第35章 もう一度会いたい人 ☆
松田side
佐藤が千速に似ているなんか、今まで一度も思ったことなかった。
けれどミコトには似てるように見えるらしく、頑なに俺がほだされるんじゃないかと疑っている。
「…じゃあ、好きって言われたらどうするの?」
「言われねえって」
そもそも、あの佐藤美和子が俺のこと好きになるわけねぇだろ?
あんなに毎日毎日俺に小言を言ってくるぐらいだぜ?
そう思っている俺とは裏腹に、ミコトは心底心配しているらしい。
もしもの話を再度語尾を強めて尋ねてくる。
「言われたら!」
「ゴメンナサイ。以上」
「…信じていいよね…?」
信じるも何も、お前と付き合っている俺が他の女に靡くと思うか?
そんなに俺は節操ないように見えるのか?
と、逆にミコトに聞きたいぐらいだと思っていた時、インターフォンが鳴り響いた。
ピンポーン
「…早いな。もう来たのか」
思った以上に早い来客に思わずそうこぼした俺を見て、ミコトはまた拗ねた顔して寝室の方へ戻って行った。