第35章 もう一度会いたい人 ☆
松田side
「ん…」
朝の光がカーテンの隙間から差し込んで、俺の顔を照らしたのが原因で目が覚めた。
隣を見るとまだ深い夢の中らしいミコトの可愛くてマヌケな寝顔が目に入る。
すぴー すぴー
と寝息を立てるミコトの口元をむぎゅっと手で摘むと、寝苦しそうに眉を顰めるところも何故か可愛い。
「今日、どっか連れてってやろうと思ってたんだけどなあ」
時計を見るとまだ午前中。
もう少し寝かせてやるか。そんでついでに俺ももう少し寝…
ピリリリリリ
寝ようと思いミコトを抱き枕にして目を閉じた瞬間、携帯の着信音が鳴り響いた。
この音は俺の携帯じゃねぇな…
そう思い、リビングにおいていたミコトのバッグの中の携帯を手に取ると、着信画面に表示されていたのは 陣平くん という文字。
「陣平くん…って、俺!?」
ふと自分の携帯が昨日来ていたジャケットのポケットにもズボンのポケットにも無いことに今更気づいた。
ということは、俺の携帯を拾った誰かが着信履歴の一番上に表示されていたミコトの番号にかけてきたってことか。
俺の携帯、ロックかかってねぇしな…
と、推理も捗ったところで、俺はミコトの携帯に届いた着信の通話ボタンを押した。