第34章 嫉妬の嵐
そうホッとして思った。
…あれ?何で俺が謝ってばかりなんだ?
そう思いながら、文句の一つでも言ってやろうと唇を離すと、ミコトがぽーっとした顔で俺を見つめてくる。
かっ…可愛い…
文句言えねえ…
くっっ…と、自分の彼女の可愛さに結局ストレート負けした俺に、今度はミコトが俺の首に腕を回して来た。
「足りない」
「…みんな見てるぞ」
「それでもいい…」
そう言うと、ミコトは背伸びをして俺の唇に自分の唇を重ねた。
そしてミコトにしては珍しく、何度も唇を動かしながら少しだけ濃厚なキスを繰り返した。
「んっ…じんぺく…すき…」
「っ…ミコト…」
ミコトに好きだと言われると、身体の奥が疼く。
俺はこいつをずっと守って行くと決めたんだ。
くだらねえことで不安にさせてる場合じゃねえな…
背伸びが疲れたミコトは、ゆっくりと唇を離すとまた俺にぎゅっと抱きついてきた。
喧嘩の後よく見せる、甘えん坊な顔だ。
俺はそんなミコトの髪を撫でて言った。
「ほら、帰ろうぜ。
明日は非番だから、どっか連れてってやるよ。
タクシー乗り場、行くぞ」
「手繋いでつれてって?」
「ん。」
そんな極甘劇場を都会の道端で堂々と繰り広げた後、俺たちは手を繋いだタクシー乗り場に向かい、そのまま帰路に着いた。
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