第34章 嫉妬の嵐
それが可愛くてより一層抱き締める力を強めると、ミコトは続けて文句を言ってくる。
「…さっきも、佐藤さんと付き合ってる?なんて噂されても全然否定しなかったのも嫌だった」
「…あれは、お前が俺のこと兄貴のダチなんて言うから」
「でも嫌だった!!!」
「…悪かったよ」
俺の言い訳は一つも通用せず、俺にしては珍しくひたすらにミコトに謝る。
さっきまで大喧嘩していたと思いきや、突然道のど真ん中で抱き締め合う俺たちを見て、通行人はより一層顔を顰めて通り過ぎてる。
きっと、そいつらも思っただろう。
この男、さっきまで怒っていたくせに結果彼女の涙に弱すぎだと。
そんな俺に、ミコトは少し身体を離して俺を上目遣いで見ると、可愛い声で尋ねた。
「…もうしない?」
「しない。酔い潰れてても無視する」
「…無視は…しなくていいけど…」
「じゃあ、酔い潰れてたら警視庁に連れてって仮眠室に…
…その手があった…何でそうしなかったんだよ昨日の俺…」
と、今更降ってきたこの名案に、思わずため息が漏れた。
そんな俺に、ミコトはまた破壊力抜群の手を使って翻弄してくる。
「わたしのこと、好き?」
「…好きだ」
そう言うとたまらなくなって、俺は道端で堂々とミコトの唇を奪った。
「んっ…」
ミコトも目を閉じて、俺の長いキスを受け入れてる。
これで仲直りか…
良かった。
明日は一日中非番だし、今からミコトを無茶苦茶に可愛がって…