第34章 嫉妬の嵐
俺が一番見たくない、泣き顔だ。
「わたしと陣平くんのベッドに、他の女の人寝かせるの、嫌だった…
今日だって、ふたりきりにして先に家を出る嫌だった。
それに、もしわたしと同棲してなかったら、一人暮らしのままだったら、あの陣平くんのアパートに連れて帰ってたの?
一晩中あのワンルームで2人きりだったの?」
「ミコト…」
悲しそうに、悔しそうに顔を歪ませてボロボロと溢れる涙を拭うことすらしないミコト。
ミコトが泣くと、俺の心も土砂降りになる。
ミコトの頬に指を添えて涙を拭ってやると、ミコトはピク…と体を震わせた。
こいつを守りたいと心底思っていたくせに、こうして泣かせてる俺は馬鹿だ…
さっきまでのイライラはどこにいったのか、俺は泣いてるミコトの手を引いて、自分の両腕の中に閉じ込めた。
ぎゅっと抱きしめると、ミコトが震えていてより一層愛しさが増した。
意地の張り合いは、俺の完敗だ。
「…悪かったよ。
お前がそんな風に思うって、考えてなかった」
そう言って髪を撫でると、ミコトは戸惑いながらも俺の背中に手を回した。
きっとミコトも、怒っているのに抱きしめられると許してしまう。
そんなこと思っているんだと思う。