第34章 嫉妬の嵐
松田side
ミコトの手を引いてレストランを出ると、立ち止まらずにズンズンと前に進んでいく俺。
少しでも歩くのをやめたら怒りが爆発してしまいそうだった。
「じ、陣平くん…待って?」
「…」
「わたし、合コンって知らなくて…
アユに彼氏いること黙っててって言われてそれで…」
何を言われても言い訳に聞こえてしまう今の俺は、ミコトが泣きそうな顔をしているのを見もせずに言った。
「悪いけど、俺今すっげぇ機嫌悪いんだ。
少し黙ってくれ」
「…っ…」
そんな風に冷たく言い放った俺は、とりあえず家に帰って頭を冷やそうと、駅のタクシー乗り場を目指してミコトの手を引いた。
するとさっきまで大人しく手を引かれていたミコトが、俺の手をパッと払い除けた。
ミコトの方を見ると、可愛い顔を目一杯歪ませて、俺を睨んでいた。
「…っ謝ってるのに…
誤解だって説明してるのに」
「…楽しそうにあんなゲームしてたくせに、よく言うぜ」
「楽しそうになんてしてない!
って言うか、陣平くんだってひどいじゃん!」
都会の歩道のど真ん中で大げんかを繰り広げる俺たちを、通行人が怪訝な顔してチラチラと見てくる。
けれどそんなこと気にする余裕もなく、俺はミコトにくってかかった。
「俺の何が酷いんだよ」
「陣平くんだって、昨日…佐藤さんをお持ち帰りして来た!」
「…お持ち帰りって…あれはそんなんじゃねえよ。
ただ酔い潰れたから」
「でも嫌だった!!!」
そう叫んだ後、ミコトはボロボロと涙をこぼした。