第34章 嫉妬の嵐
爪楊枝リレーってなに?!
誰よそんな卑猥なゲーム考えたのは!
なんて思っていると、周りに丸め込まれた藍沢先生が観念してわたしの肩を抱いた。
まるでキスされるみたいにだんだん顔が近づいてきて、後少しのところで急に冷静になった。
え、やばくない?これ
思えばすぐ近くに陣平くんがいるのに、他の男の人に肩を抱かれてこんなゲームしてるなんて最低じゃない?!
慌てて藍沢先生の体を押し戻そうとしたときのことだった。
わたしが咥えている爪楊枝を、誰かの手がボキッと指で真っ二つに折った。
「んっ!?」
ハッとその人物を見ると、陣平くんが閻魔大王みたいな不機嫌MAXな表情でわたしと藍沢先生を交互に見た。
「じ、陣平く…」
「帰るぞ。ミコト。」
そう言ってわたしの荷物を持った陣平くんは、わたしの腕を引いた。
やばい。どうしよう…めちゃくちゃ怒ってる…!
「萩原ちゃん、お兄さんの友達と仲良いんだね」
凍りついたその場を何とか取り繕うと幹事がそう言ったけれど、陣平くんはわたしの肩を抱き寄せてそこにいた男性陣を睨みつけた。
「兄貴のダチじゃねえよ」
「え?」
「俺はこいつの彼氏だって言ってんだ!
手ェ出したらブッ殺す」
まるで吠えるみたいにそう怒鳴り散らした陣平くんの声は、洒落たレストランの中に響き、シン…と大注目を浴びる。
「ほら、帰るぞ。」
そう言ってわたしの手を引いて合コンの席から遠ざけた陣平くんは、自分の席を通るときに一言上司に断りを入れた。
「悪いな警部サン。俺はこれで失礼するぜ」
「あ、あぁ。松田くん、明日は非番か…
じゃあまた明後日に…」
陣平くんの歓迎会なのに、この無茶苦茶な始末を怒りもせず、警部サンと呼ばれたその男性はおおらかに笑って手を振った。
そして同じ席に佐藤さんがいたのも見えたけれど、わたしは顔を直視できなかった。
今日、わたしがオリエンテーションのために家を出てから、2人きりで何してたんだろう。
そんな考えなくてもいいことをつい頭に浮かべてしまい、また嫉妬に狂いそうになるわたし。
陣平くんはわたしの手を引いたまま、店を出た。
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