第34章 嫉妬の嵐
「じゃあ、そろそろ合コンらしいことやる?」
隣のテーブルの幹事らしき男がそう言って取り出したのは、輪ゴム
合コンらしいことなのになぜ輪ゴム!?
と、俺もツッコみそうになったが、その答えはすぐに説明された。
「まずみんな爪楊枝を咥えます。
そして、この輪ゴムを引っ掛けて、隣の人にリレー!
どう?合コンっぽいだろ?」
は…?それはつまり、爪楊枝の距離だけミコトの顔に誰かが近づくってことか?
初めて聞くそのふしだらなゲームに慄く俺をよそに、幹事がゲーム開始の合図を送る。
「じゃ、藍沢から時計回りにGO!」
「却下」
「はあー?!ノリ悪いなあー!」
即却下を下した藍沢は、ため息を吐きながら頬杖をついた。
「そもそも俺は、合コンだと知らずに来た。
やりたければ俺抜きでやってくれ」
「そんなこと言って、隣の萩原ちゃんがフラれたみたいでかわいそうじゃん」
「えっ!?わ、わたし?!
わたしは別に…」
ミコトは慌てて手を横に振ってそんなことないって言っているが、幹事は藍沢の肩に腕をまわして意地悪に囁く。
「藍沢ー。恥をかかせるなんてそれでも男か?」
「…わかったよ」
ため息混じりにそう言った藍沢。
そして藍沢は隣に座るミコトの肩を抱いた。
「え…!え!?!」
突然肩を抱かれてパニック状態に陥るミコト。
そしてゆっくり藍沢の咥える爪楊枝に引っかかった輪ゴムが、ミコトの方は近づいて行く。
2人の顔の距離は、キスする5秒前。
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