第34章 嫉妬の嵐
松田side
藍沢とか言う後から来た合コン相手を、俺はチラチラと横目で盗み見ていた。
顔が降谷や萩原に負けず劣らずいわゆるイケメン。
そこにいた女性陣はみんな目をハートにしてそいつを見ている。
どうやらミコトが今度臨床実習で世話になる病院のドクターらしく、ミコトはさっきからずっと藍沢の隣に座り、医学の話に花を咲かせている。
俺じゃわかってやれねぇ、難しそうな脳腫瘍とか、動脈破裂とか、専門用語が飛び交って、ミコトは楽しそうに笑っている。
きっと俺とは出来ないそんな会話を、ミコトは心底楽しいと感じるんだろう。
心の中で沸々と嫉妬心が湧き上がって来た時、追い打ちをかけるようにミコトが嬉しそうに笑った。
「藍沢先生はわたしの憧れのドクターなので、お話出来て嬉しいです」
そしてまた、隣にいる藍沢に楽しそうに話しかけるミコト。
何だよ…
俺のこと、兄貴の友達って言ったり
俺の目の前で他の男の事憧れだと言ったり
他の男と楽しそうに話したり
ムカつく…
今すぐ連れて帰って、お前は俺のものだろ?と分からせたい。
そんな気持ち悪いぐらいの嫉妬心と独占欲は、いつから俺の中で歯止めが効かなくなって来たんだろう。
そんなイライラが顔にモロに出ていたんだろう。
隣で飲んでた佐藤が俺に恐る恐る話しかけて来た。
「松田くん、大丈夫?」
「あ?何が?」
「…あの向こうの席にいる女の子、彼女よね?
前に確かIKEAで会った…」
「あぁ…知らねえよ。
俺は兄貴のダチ。らしいから」
ムスッと不機嫌MAXでそう言うとまたジョッキに入った生を一気飲みする俺。
そんな時だった。