• テキストサイズ

【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第34章 嫉妬の嵐




そう思い、荷物を持って席から立ちあがろうとした時


「おっ!やっと来た!
おーい、こっちこっち!」


テーブルを囲んでいた男性メンバーの1人が、入口から入ってきた人物を見て、手招きを始めた。

どうやら遅れていた米花中央病院の医師らしい。

わたしはつられて彼が手招きする人物へ目を向けた。

そこにいたのは、わたしがタイムスリップする前に面識のあったドクターだった。


「あ…藍沢先生!!」


わたしが思わず立ち上がりながらその人物の名前を呼んだ時、周りのメンバーは目を丸くしてわたしを見た。


「あれ?萩原ちゃん、藍沢と知り合い?」


そう聞かれてハッとした。

わたしが藍沢先生と知り合ったのは、タイムスリップする前のこと。

陣平くんが亡くなってから、医師免許を取得し研修医となったわたし。

東都大附属病院の救命センターでの研修時、藍沢先生はそこの救命センターのシニアドクターでわたしの指導医だった。

藍沢先生は厳しかったけれど、腕は超一流の外科医。

名医ってこの人のことを言うんだ…って思うほどで、わたしの目標であり憧れだった。

けれどそれはわたしが25歳の時の話。
今のわたしは22歳。
当然、藍沢先生とは面識がないことになる。


「…俺、知らないけど。どこかで会った?」

「あ…えと…」


まずい。
初対面の相手にいきなりドンピシャで名前呼ばれたんだもん。
めちゃくちゃ不審そうな顔をして藍沢先生がわたしを見てる。


「えっと、藍沢先生の論文を読んだことがあって。
名前とお顔だけは存じておりました…」

「…そう。」


相変わらずクールな藍沢先生は、それだけ返事をすると席に座った。


/ 916ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp