第34章 嫉妬の嵐
松田side
ミコトの名前を呼ぶと、ミコトも俺の名前を呼びながら、何故ここにいるの!?という風に目をまん丸に見開いた。
そしてその直後に、同じテーブルの男から知り合い?と尋ねられた時、ミコトはこう言った。
「わたしの…わたしの…兄の親友なんです!」
はあ!?
俺はお前にとって兄貴の親友!?
違うだろ。俺はお前の彼氏じゃねぇのかよ。
ミコトの回答が心底気に食わない俺は、ヘラヘラとその場凌ぎの嘘をついて笑っているミコトを無意識に睨んだ。
「へぇ。あの子のお兄さんの親友なんですか。松田さん」
「そうなのか!偶然だなあ!」
そのやりとりを聞いていた白鳥刑事と目暮警部が揃って、俺にそんなことを言ってきた。
「…そーっすよ。
俺はあいつの兄貴…萩原研二の親友。
それ以上でもそれ以下でもねぇっすよ」
ワザとミコトに聞こえるぐらいの声でそう言って、乱暴に席に座る俺。
ミコトをチラッと見ると、傷付いたような悲しげな顔をしていた。
なんだよ…
元はと言えば、お前が先に俺のことをそう言ったんだろ…?
と思いつつも、ミコトのあんな顔見たら良心が少し痛んだ気がした。
「そう言えば、今日佐藤くんと松田くん、連れ立って出勤していたようだが、昨日何かあったのかね」
そんなプライベートなことを平然と聞いてくる目暮警部。
普段は周りの空気をこれでもかと読むところがあるが、たまにデリカシーのない質問をしてくることがある。
まさに今だ。