第34章 嫉妬の嵐
まさにその時だった。
「ミコト!!?!」
わたしの下の名前が誰かに呼び捨てで呼ばれ、わたしはハッとそっちを見た。
その声の主は、明らかにわたしの1番大好きな人の声だったけれど、この目で姿を見るまで俄に信じがたい。
まさかね。
なんて思いながら、振り返ると次の瞬間、わたしの視界にいたのは紛れもなく
「じ、じ、陣平くん!?!」
わたしの大好きな恋人
松田陣平だ。
どうして陣平くんがここに!?!
確か、今日は歓迎会だと…
そこまで考えたとき、同じテーブルに昨日うちに泊めた佐藤さんがいることに気づいた。
まさか、わたしの合コンと陣平くんの歓迎会の開催場所がかぶったってこと!?
何の奇跡よ!!!?
と、脳内で1人コントを繰り広げていると、合コン相手であるとあるドクターが、わたしに恐る恐る尋ねた。
「あれ…?萩原ちゃんの知り合い?」
「知り合いも何もわたしの…」
「ウオッホン!ゴホン!」
わたしの彼氏です!と口走りそうになったわたしを、隣にいるアユが盛大な咳払いでそれを止めた。
そうでした。
彼氏持ちだと言うことはこの場では内緒なんだった…
「わたしの?!」
「わたしの…わたしの…兄の親友なんです!」
この肩書きも嘘ではない。
誤魔化せた?!と安心したのも束の間、わたしのその言葉を聞いた陣平くんが遠くの方で心底面白くないって顔してわたしを見ていたのがわかった。
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