第34章 嫉妬の嵐
合コンが始まり、それぞれの自己紹介を終えようとしている時のことだった。
「萩原ミコトです。
米花中央病院で臨床実習に参加する予定で、将来は一般外科の道に進みたいなと思ってます。
よろしくお願いします」
そう頭を下げたあとみんなの拍手の中席に座ると、合コンと言えばのお決まりの質問が飛んでくる。
「萩原ちゃんの好きなタイプはどんな男?」
「好きなタイプ…」
そう聞かれて、わたしの頭に真っ先に浮かんだのはもちろん陣平くんだ。
陣平くんを単語にすると、なんだろう…と考えた結果、わたしから出てきたのは
「…不器用だけど、優しい人。
あと、わたしのことを一番に考えてくれる人…
無鉄砲で、危なっかしいのに、この人について行きたいと思える人…
かな?」
「おぉー!随分定まってるなー!
もしかして好きな男、いる?」
あまりに具体的に話すわたしを見てそう尋ねてきた男性陣。
さすが現役ドクターだ。
頭が良く勘のいいこと…
もちろん、はい!と返事をしたいところだけど、隣に座るアユをチラ見すると、分かってるよね?????という無言の圧を感じた。
「いませんよー!いたらここには来ません!」
あははははと乾いた笑いを繰り出しながら、誤魔化した。