第33章 お持ち帰りの仕返し?!
松田side
佐藤の有言実行は凄まじい。
松田くんの歓迎会を無事に開催するために、ちゃちゃっと犯人あげちゃいましょ!
なんて言っていたが、その通りの結果になった。
急行した現場に犯人の痕跡がたくさん残っており、容疑者の中に現場に残された下足痕と一致する靴を履いていた人物がいたのだ。
話を聞くと、どうやら衝動的に突き飛ばして殺してしまったらしく、動揺して証拠を消す余裕なんてなかったとのこと。
まあそりゃそうか。
綿密に練られた連続殺人なんか、そうそうあってたまるかよ。
そう思いながら調書をまとめていると、隣で日誌を書いていた佐藤がパタリとそれを閉じた。
「あー!終わったー!!」
んーー!と背伸びをした佐藤。
こいつ、昨日の夜散々飲んで、他の人の家に泊まって昼から出勤したくせに、また今日の夜の飲みに対してやる気満々かよ…
相変わらずのタフさに慄きながらも俺も調書を書き終え、目暮警部に提出した。
「ご苦労!無事に定時に終われて何よりだよ!
じゃあ早速、予約もしてあるし向かうとするかー!」
「や、俺そんな歓迎会とかいらねえっすよ…?」
「まあまあそう言うな!
一時はどうなることかと思ったが、君も一課で頑張ってくれとるし、今日はワシのおごりだ」
バシバシと肩を叩かれながら、屈託のない笑顔でそう言われると流石の俺も邪険には出来ねぇ。
…まぁ、警部には世話になってっし、奢ってくれるなら行ってもいいか…
と相変わらずの上から目線でそう判断した俺。
目暮警部、佐藤美和子、白鳥刑事、その他当直に入っていなかった一課の面々と連れ立って、俺は目暮警部が予約としたと言うオシャレなお店へと足を運んだ。
なるほど、たしかに洒落てるな…
タバコ臭え一課のデカが来る店とは到底思えねえ。
「何だか、お客さんいっぱいね。
さすが人気店なだけあるわ。」
「華金ってやつですからねえ。
目暮警部が予約してくれて助かりましたよ」
佐藤と白鳥は客が賑わう店内を眺めながらそんな会話をしていた。
「予約していた目暮だが」
「目暮様ですね。いらっしゃいませ。
こちらへどうぞ」
そう言って店員に案内されたのは、奥のテーブル席。