第33章 お持ち帰りの仕返し?!
松田side
やっぱり、ミコトの作るカレーはこの世の何より美味えな。
大好物のこの味を堪能しながら、朝からミコトの愛情をたっぷりと吸収できている気がする。
佐藤が、このカレー美味しいと言った時、まるで自分が褒められた気分になった。
自分の彼女を誉められるって、悪い気はしねえな。
寧ろ誇らしくてたまらねえ。
昨日、本当はこれを俺と一緒に食いたかっただろうな。
ミコトにこのカレーを昨日の夜一人で食べさせてしまったことに、申し訳なさをひしひしと感じた。
俺も佐藤も、皿に乗ったカレーを全部綺麗に平らげた時、突如として俺の携帯が鳴った。
どうやら、ミコトからメールが1通届いたらしい。
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陣平くん
今日、アユと一緒に、実習先のドクター達との交流会に行くね。
夕飯は、悪いけど外で済ませてきてくれるかな?
日付変わるまでには帰るから
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そう書かれているメールだった。
そうか。ミコトももうすぐ病院での臨床実習が始まると言っていた。
そりゃ付き合いとか、これからもっと増えてくるんだろう。
そう思うと、ますます一緒に住んでいてよかったと思えた。
「しかし、今日の夜は外か…」
ぽつりとこぼした俺に、佐藤は首を傾げながら言った。
「今日の歓迎会のこと、忘れてないわよね?」
「歓迎会?」
「今日の勤務後に一課の面々で松田くんの歓迎会をやろうって先週目暮警部が言ってたでしょ?
忘れたの?!」
「あぁー…そういえばそんなこと言ってたな」
歓迎会なんてこれっぽっちも興味がない俺は、頭の中からすっぽりと抜け落ちていて、佐藤はやれやれと呆れながら小言を言う。
「目暮警部、張り切っておしゃれなお店予約したって言ってたんだから、忘れないであげてよね」
「へいへい」
教育係らしく、くどくど説教する佐藤を軽くあしらい、俺はミコトに返事を打った。
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りょーかい。
俺も今日は外で食ってくるわ
どうやら、今更俺の歓迎会らしい
帰る時連絡するよ
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そう返事をして携帯を机の上に置き、またスプーンでカレーを食い始める俺。