第33章 お持ち帰りの仕返し?!
佐藤side
松田くんの後についてリビングダイニングへと足を踏み入れると、ダイニングテーブルにご丁寧にランチマットとスプーン、グラスが用意されている。
松田くんが用意してくれた様子で、律儀にこんな風に食卓に並べるんだ…と、意外な姿にギャップを感じた。
「そっち座って」
そう言われて指さされた方の椅子に着席すると、お皿に盛り付けた美味しそうなカレーをコト…と目の前に置いた。
「うわ…美味しそう…」
思えば昨日はお酒ばかり飲んで、食べ物はあまりお腹に入れていなかった。
だから酔いが早く回ったわけなのだが、気付けば空腹の私は目の前に出されたカレーに腹の虫が鳴った。
ぐるるるる
「ぷ…。すげぇ音」
「っ!仕方ないでしょ!?…お腹空いてるんだから」
「まあいいや。食おうぜ。
いただきます。」
松田くんは笑いながら私の目の前の席に着席して、ちゃんと手を合わせていただきます。をした。
それも、ギャップだ…
松田くん、家ではこんな感じなんだ…
カレーを美味しそうに頬張る彼を眺めながら、私もスプーンで掬って口の中に入れると、そのカレーが美味しすぎて衝撃を受けた。
「っ…なにこれ…美味しい!!」
「だろ?」
目を輝かせて感動する私を見て、松田くんは少し誇らしげに笑った。
「ま、まさかこれ、松田くんが作ったの?!」
もしそうだとしたら、私より数倍料理上手だ…
男の刑事に負けるのか…私の料理の腕は…
愕然としたのも束の間、それは早とちりだったことを松田くんが教えてくれた。
「そんなわけねぇだろ?俺は料理は全く出来ねえ。
昨日の夕飯に、彼女が作ってくれたんだよ」
「…彼女…」
「あぁ。けど、昨日の夜は外であんたと食ったから、今日の朝食べられるようにタッパーに入れておいてくれたんだ」
なんだ…
そりゃそうか。一緒に住んでるんだもんね…