第32章 寝言の理由 ☆
夜1時。
陣平くんはもうすぐ帰ってくるかな。
飲みに行くって言ってたし、今日はちゃんと家に帰ってきてくれるってことだよね?
寝落ちしそうになりながら、ベッドでひたすらに陣平くんを待ってるわたし。
明日は実習前のオリエンテーション。
朝早いから寝ないといけないのに、わたしはどれだけ陣平くんが好きなんだろう。
2人で抱き合って眠るセミダブルベッドが、1人だとすごく広く感じる。
寝る前に、陣平くんにぎゅってしてもらいたい。
あわよくば、髪を撫でてキスしておやすみって言ってもらいたい。
そんなこと考えて、陣平くんの帰りをひたすら待つわたしはまるで忠犬みたい。
「早く帰ってこい。じんぺーのばか。」
そうぽつりと言った時
ガチャリ
と、玄関ドアが開く音がした。
陣平くんだ!!!
本当はベッドで彼がくるのを寝たふりして待ってようと思ってたけど、気づけばわたしはベッドを飛び出していた。
パタパタとリビングを抜け、玄関へ続く廊下のドアに手をかける。
「おかえりー!じんぺ…」
ドアを開けたその瞬間、わたしの高まったテンションは、一気に急降下した。
陣平くんが、なぜか女の人を担いで部屋の中に入って来たのだ。
「悪いミコト。
こいつ、頼んでいいか?
一緒に飲んでた同僚。潰れちまって。
お前と一緒にベッドで寝させてやってくれ」
「え??あ、はい…」
は?え??
同僚って女?!
しかもこれ、まさかお持ち帰りして来たの?!?!