第32章 寝言の理由 ☆
そして3時間後
気付けば佐藤は俺の隣でビールジョッキを握りしめたままテーブルに突っ伏している。
「んー…」
「おい!起きろって。おーい。」
いくら揺すっても起きる気配のない佐藤センパイ。
これは到底1人で帰れそうな状態ではない。
そんな時、店の店員が恐る恐る俺たちのテーブルに伝票を置きにやってきた。
「そろそろ閉店のお時間です。
お会計お願いできますか?」
「ったくしゃあねえな」
何故俺が、酔っ払いの世話なんか…
これじゃあどっちが教育係かわかんねえだろ
そう思いながら会計を済ませて、酔い潰れた佐藤を肩に担いで店を出た。
こんなところ、捜査一課の佐藤美和子親衛隊に見られでもしたら、明日からさらに俺への風当たりは強くなるだろう。
「勘弁してくれよ…」
はぁあ…とため息を吐いた後、とりあえずこいつを家まで送ろうと、走っているタクシーを捕まえて中に乗り込んだ。
「おい、あんたの家どこ?
住所教えてくれ」
「んーっと、ベルツリータワーのてっぺんー」
「…だめだこれ。
仕方ねえな。俺の家に連れて帰るか…」
さすがに酔い潰れた同僚(しかも女)を道端に放置して帰るわけにもいかず、俺は仕方なく佐藤を自分の家に連れて帰ることにした。
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