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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第32章 寝言の理由 ☆




佐藤はムッと顔を顰めた後、懲りずにまたビールを流し込む。


「そりゃ、私だって。
このまま刑事をやってていいのか?とは思うわよ?
こんな仕事、理解してくれる男の人なんていないだろうし、結婚だって出来ない。
…でも、今の仕事が楽しいんだもの。」

「別に、結婚しようと思えばできるだろ。
刑事同士なら理解も多少あるんじゃねぇの?
あんた、人気みてえだし」

「刑事同士か…」


ぽつりと呟いて俺を見る佐藤。
俺はジロッと睨み返した。


「んだよ。俺の顔になんかついてんのか?」

「?!う、ううん?
あーあ。今の私のこの生き方、死んだ父はなんて言うかなー。
自分と同じ刑事になって喜んでるかな。
それとも、早く女としての幸せを掴めと怒ってるかな」


そう言った後、亡き父を思い出しているかのような、寂しげな表示を見せた佐藤。

その顔は、見覚えがある。

ミコトが萩原の話をするときに見せる表情とそっくりだ。

そしてきっと、俺が萩を思い出す時も同じ表情をしてるだろう。


「死んだ人間は答えちゃくれねぇよ」

「…知ってるわよ。
けれど、たまに思うの。
今もし父に会えたら、何話そうって。
何を話して、どんな時間を過ごそうって。
…バカよね」

「バカじゃねぇよ。
…よく分かる。」


俺だってそうだ。

何かあるとすぐに萩原に言いたくなる。
もしまたもう一度会えるなら、俺は萩原にちゃんと言いたい。

お前ほど、俺にとって唯一無二で大事なダチはいねえと。

そんなこと、生きてる間に伝えるチャンスはいくらでもあったのに。

ちゃんと言えばよかったと後悔するのは、そいつがもうこの世から消えた後だった。

俺が萩原のことを思い出してると、その表情でそれを察知したのか、佐藤が追加でビールを頼む。


「すみませーん!生2つと焼き鳥盛り合わせ2つ追加で!」

「まだ飲むのかよ…」

「立ち止まってなんかいられないわよね。
今日は飲んで、飲みまくって日頃のストレス全部発散しましょう!!」


俺を元気付けようとしてるのか?
それにしてももっとやり方あるだろ。

と、心の中でツッコミながらも、優しい俺は佐藤のストレス発散に付き合って、大量の酒を身体に入れた。


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