第32章 寝言の理由 ☆
「飲みに行くことになった。
先に寝ておいてくれ」
そのメールが届いた時、わたしは絶賛夕食の準備中だった。
「えーー!もっと早く言ってよー!」
せっかく陣平くんの好きなカレー、たくさん作ったのに。
鍋に大量に作った、自分の自信作である特製カレーを混ぜながらわたしはため息を吐いた。
「陣平のばか…」
むー。と文句を言うけれど、よく考えるとこれでも全然マシな方だ。
帰れない日はちゃんと連絡くれるし、わたしが眠っている間に帰って来たら、必ず抱きしめて頬にキスをしてくれる。
何度も寝たふりをしてたから、知ってるの。
朝起きて、隣に陣平くんがいると嬉しくて、毎朝泣きそうになる。
行ってらっしゃいと彼を見送ることができる幸せも、ひしひしと感じてる。
タイムスリップしてはや2年が過ぎた。
このままずっと、陣平くんと生きていけると思っていていい?
最初の頃は明日が来るのが怖かった。
いつ、元の世界線に戻されるかと恐れていたから。
でも今は、明日はどんな陣平くんが見れるかな?と毎日楽しい。
きっとこの作り過ぎたカレーも、明日の朝ご飯に陣平くんが食べてくれるよね。
そう思って、わたしは陣平くんのために作ったカレーをタッパーに入れた。
よく朝このカレーを食べるのが陣平くんだけじゃないってこと、この時は想像すらしてなかった。
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