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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第4章 俺と萩原




萩を天国に見送ったあと、ミコトと手を繋いだまま帰り道を歩いた。


ふと、小学生の頃を思い出す。


「…思い出すな。昔を」

「え…」


「ほら、昔はよく迷子になったお前をこうやって手ェ引いて、送ってやっただろ?
忘れちまったか?」


まぁ、忘れてるだろうな。
ミコトは小さかったし。

そう思っていると、ミコトはほんの少しだけ笑ってこう返事をした。


「…今、わたしもそのこと思い出してたよ」


なんだ。
忘れてねぇのか。

ちゃんと、覚えてんだな。

それが妙に嬉しくて、フッと笑った俺はまた前を向いて歩き出した。


並木町の途中、イチョウの木のまだ緑の葉がざわめいたとき、俺の名前をミコトが呼んだ。


「陣平くん」

「んー?」


振り返ると、ミコトは真っ直ぐ俺を見ながら立っている。


そして、縋るような目で俺に言った。




「わたし、陣平くんのこと、好きだよ」



正直に言うと、俺は嬉しかった。
ものすごく、嬉しかったのに咄嗟に誤魔化した。


「…突然だな」


「突然じゃない。
あの日、あの夏の海で、陣平くんに振られてからもずっと、今も。
陣平くんが好き。
陣平くんの、彼女になりたい」


ミコトがまたこうやって、必死に想いをぶつけてくれた。



今こそ手を取るべきだ。
ミコトの手をとって、俺も好きだと言って、一緒に萩がいない悲しみを分け合って生きていくべきだ。


そう思うのに、萩が最後に言った言葉を思い出す。


「まぁ、妹は俺の宝物だからなー。
中途半端に手ェ出すみたいなこと、やめてくれよな?手ェ出すなら最後まで責任取ってもらわないと。な、陣平ちゃん」


そうだよな…萩原。

俺は、ミコトを幸せにする自信なんかこれっぽっちも無かった。
中途半端に好きだと言って、ミコトを大事にせずに泣かせる未来が容易に想像できる。

そんなの、萩が許すはずねぇ。


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