第31章 2人の部屋で初めての夜 ☆
夕食を終えた俺たちは、食器の片付けや皿洗いを俺が引き受け、その間ミコトは風呂に入ることになった。
さっきは飯を食べるという食欲が勝ったが、今の俺は早く風呂から出てきたミコトをベッドで抱きたい。
なんて悪びれもなく思ってた。
洗い物を済ませた俺は、意気揚々とセミダブルベッドへ入り、ミコトがくるのを今か今かと待った。
すると、ベッドルームのドアが開き、可愛い部屋着を着た風呂上りのミコトが、髪を乾かし終えた状態で俺の待つベッドにやってきた。
「陣平くん、寝るの早いね」
「バァカ。お前を待ってたんだよ」
そう言うと、え??と首を傾げるミコトの腕を掴み、ベッドへと引き込んだ。
そして、ミコトの髪を撫でながらゆっくりと唇を重ねる。
ちゅ…
ほんの少し触れただけで、もっと、もっと触りたい。
そんな思いが増幅して、今度はミコトの口内に舌を入れようとしたとき
「んっ…待って…」
「…なんで?」
もう今にも押し倒しそうになるぐらい興奮している俺は、ミコトの待った。にかろうじて反応した
「明日、小テストなの!!
先に勉強させて?!」
そう言ってミコトが俺に見せて来たのは、「症例から学ぶ外科診療」と言うなんとも肩が凝りそうなテキストだ。
「…んじゃあ、勉強終わるまで待ってる」
「うん!テキスト読むだけだから、ちょっと待ってね」
まあ、仕方ねえな。
ミコトの勉強は邪魔しないのが、俺が同棲を始めた時に掲げたポリシーだ。
そう思い、ベッドに潜り込んだミコトが隣でその難しそうなテキストの音読を始める。
「えーっと、急性腸間膜虚血は…」
と、ひたすらに難しい単語を並べられると、俺のさっきのムラムラは徐々にしゅん…と萎んできた。
そして、ミコトの心地いい匂いを嗅ぎながらそんな呪文みたいな本の読み聞かせをされた俺は、昼間の疲れも相まっていつの間にか深い眠りに落ちていた…
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