第31章 2人の部屋で初めての夜 ☆
自分達の家でミコトと過ごす夜のゴールデンタイムが嬉しすぎて舞い上がっている自分を自覚しながらも、俺は大人しくダイニングテーブルに着席した。
目の前に並べられたご馳走の数々を見て、俺の腹の虫がぐるるると音を立てた。
「陣平くん、すごい音!」
「うるせぇー腹減ったんだよ」
そんな粗暴な言葉とは裏腹に、丁寧に両手を合わせていただきますをした俺は、ミコトが作ってくれた夕食に箸をつけた。
相変わらず美味い飯を作る奴。
口に運びながらミコトを見ると、ミコトは自分が食べるのは後回しで俺が食べてる様子を楽しそうに見ている。
「どう?今日ランチ時に牛カツレツのお店の前に行列が出来てるの見て、どうしても食べたくなったの」
「絶対その店より、こっちの方が美味い」
心の底から思ったことをそのまま口にすると、ミコトはまた嬉しそうに笑った。
幸せって辞書を引いたら、こういうことが書いてあるんだろうな。
なんて思いながら、ミコトが作ってくれた料理を次から次へと口に運んだ。
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