第31章 2人の部屋で初めての夜 ☆
「…陣平くんって、そんな周りのこと考えられる人だったっけ?」
「どーいう意味だコラ」
こいつ、人がせっかく素直に胸の内を打ち明けたと言うのに…
と、ワナワナと怒りを抑えていると、ミコトは俺に正面からぎゅっと抱きついてきた。
「陣平くんがしないなら、わたしからする」
ミコトの柔らかい身体が俺の全身にふわりと当たり、そして愛しいミコトの匂いが鼻をくすぐる。
だから言っただろ…
抱き締めると、抱きたくなるんだって…
最後、あとほんの一握りだけ残った理性で何とか繋いでいると、そんな俺を嘲笑うかのようにミコトは俺の首に両腕を回した。
「陣平くん、大好き。バカ」
照れた顔で俺を睨みながらそう言ったミコトは、俺の唇に自分の唇をゆっくりと重ねた。
ミコトの柔らかい唇の感覚、手触りのいい肌の感覚、甘くて心地いい匂い。
全部が俺の理性をあっさりと溶かした。
俺はキスをしながらミコトの身体を勢いよく押し倒し、仰向けになるミコトに馬乗りになる。
驚いて目を丸くする最愛の彼女に、俺は悪びれもなく言った。
「言っとくけど、今日は寝れねえと思えよ」
そう言いながら、ミコトが着ていた部屋着のボタンを片手で器用にぷつぷつと手早く開けていく。
そんな俺に、ミコトはじっと俺の目を見つめながら、目を潤ませて言った。
「明日、ちゃんと授業出るから…
陣平くんとしたい…」
「お前…可愛すぎて駄目だ…」
単純すぎる俺は、ミコトにウルウル見つめられてしたい。と言われるだけでもうその気満々になる。
「ミコト…」
「ん…」
名前を呼びながら唇を近づけると、ミコトは目を閉じて俺がキスをするのを待っている。
その顔もとんでもなく可愛くて、しばらくそれを眺めていると、一向にキスをしてくれない俺に、ミコトは目を開けて睨んだ。
「焦らさないでよ…」
「悪い。つい。
…ミコト…キスしよう」
「っ…ん…」
甘い声でそう言うと、ほんの少し前まで怒っていたミコトは途端に大人しくなり、また目を閉じて俺のキスを待ってる。
従順だな…
そう思いながら、俺はミコトの唇に自分の唇を重ねた。